最初なのでいろいろ書いてみる。
私の勤め先の事務所では、
「軽減税率と聞くと、かつての物品税を思い出すな~」
と50代の先輩が言っていた。
日本における物品税とはなにか。
消費税が導入される前に課されていた税で、いわゆる贅沢品の購入時にかかっていた税である。
それ以外は生活必需品という扱いで無税(非課税)であった。
今はあまり資料が残っていないが、調べたところ自動車に23%の物品税がかかっていた時代もあったようだ。
では、なぜ物品税が廃止されて消費税になったか。
理由はいくつかあるが、そのうちの1つは現在の軽減税率にもつながる「区別がわかりにくい」という理由である。
その代表的な例が、レコード「およげ!たいやきくん」である。
発売当時はレコードは課税であったが、教育的観点から童謡と判定されれば非課税であった。
当然、その判断が分かれることになるのだが、最終的には童謡と判断され非課税となった。
しかし、これらのレコードの他にも課税(一般の曲)か非課税(童謡)か、レコード会社と国税局とで判断が分かれるレコードが続出することとなった。
ものによっては、東京国税局は童謡と判断したが、他の国税局は一般の曲と判断したものさえあったようだ。
レコードにとどまらず、他の物品税対象の商品でも同様の問題が続出した。
そのような背景もあって物品税は廃止、(非課税は一部あるものの)一律の税率を課す消費税へと移行した。
物品税のこういう歴史背景を見ると、消費税の軽減税率は同じ道をたどって結局一律の税率になるのではと思われる。
というより、過去に失敗しているものをなぜ改めてやろうと思ったのか、それが一番の疑問である。