税理士・社会保険労務士をめざすうさみみミカエル227

個人税理士事務所で働きつつ資格取得のために勉強、仕事や勉強、その他何かあったことを固くならないように紹介していくブログ。

年末調整とは、いや、そもそも会社員の人の所得税とは

12月は何かと忙しい時期である。
企業の経理もそうで、12月はほとんどの企業で年末調整なるものが行われる。
これをもって、(副業や副収入がない大半の)会社員の所得税が確定する。
今回はこのことに触れていこう。
 
 
◎内容
〇概要
源泉徴収とは
〇年末調整とは
 


〇概要
1.毎月の給与において、定められた所得税額を徴収する(源泉徴収
2.1.を1月から12月まで累計し、年間の本来の所得税額を計算し、1.の累計との差額を精算する(年末調整)
おおよそこのような話になる。
年末調整について説明するには、まず源泉徴収について説明が必要になるので、源泉徴収について確認していくことにする。
 


源泉徴収とは
会社員は毎月1回以上の給与をもらう。
大半の場合ではその際に社会保険料所得税、住民税が控除される。
このうち、所得税の控除を源泉徴収という。
 
なお、住民税の控除は特別徴収という。
※話はそれるが、特別徴収がある以上普通徴収もある。
転職・退職の際に住民税の納付書が家に届くことがあるが、それで自分で納付するのが普通徴収である。
住民税の話は機会があればまた載せるが、所得税源泉徴収も似たようなものである。
 
 
 
毎月の給与の支給、というより手取り額は以下の流れで決められる。
1.基本給をもとに時間外手当等を加算する
2.各種社会保険料を控除する
3.源泉徴収額を控除する
4.住民税や、その他労使協定で控除するものを控除する。
給与明細がこの順に並んでいるのは、2.以降の控除の関係である。
 
 
 
 
 
1.基本給をもとに時間外手当等を加算する
いわゆる総支給といわれるのは各種控除前の1.の金額である。
年収等も1.の総支給の累計である。
 
2.各種社会保険料を控除する
健康保険、厚生年金、雇用保険等を算出する。
健康保険の制度や都道府県によって異なるが、おおよそ以下の割合である。
・健康保険料……給与の約5%(都道府県により異なる)
介護保険料……給与の0.895%(40歳以上)
・厚生年金……給与の9.15%
雇用保険料……給与の0.3%(建設等一部業種は0.4%)
実際は保険料率の表を使うのだが、合計おおむね15%前後と思ってもらえればよい。
なお、雇用保険料以外はほぼ同額を企業も負担する。雇用保険料は負担割合が異なる。
 
3.源泉徴収額を控除する
社会保険料を控除した後の金額をもとに、源泉徴収税額を算出する。
2.の金額が同じでも扶養親族の人数で源泉徴収税額が異なる。
 
4.住民税や、その他労使協定で控除するものを控除する
住民税は前年の所得に応じて定められた金額を徴収する。
その他労使協定で控除するものとしては、社宅の家賃や食費などが考えられる。
 
・具体例
東京都で働く30歳(扶養親族なし)、ひと月の総支給30万の人の場合
健康保険 保険料額表より14,805(9.87%/2)
厚生年金 保険料額表より27,450(18.3%/2)
雇用保険 300,000×0.3%=900
控除する社会保険料=14,805+27,450+900=43,155
社会保険料控除後=300,000-43,155=256,845

源泉徴収税額 源泉徴収税額表より6,750
なお、住民税(概算)12,600とすると、この人の手取りは
300,000-43,155-6,750-12,600=237,495 となる。


 
〇年末調整とは
それでは、本題の年末調整である。
前述の通り、年末調整とは1年間の源泉徴収税額を累計し、年間の本来の所得税額との差額を精算することをいう。

源泉徴収は概算であり、年間の収入が確定する年末で所得税額も精算することができる。
それでは、年間の本来の所得税額はどう計算するのか。

年間の本来の所得税額は以下の流れで計算する。
1.年間の総支給を集計する
2.給与所得控除を算出し、給与所得を確定させる3.各種所得控除を算出・適用する
4.税額を算出し、税額控除の適用および復興税の加算を行う
税額は、{(1.総支給)-(2.給与所得控除)-(3.所得控除)}×(税率)で算出される。
 
1.年間の給与総額を集計する
これは単純に年間の給与及び賞与(いずれも総支給)を合計すればよい。
 
2.給与所得控除を算出し、給与所得を確定させる
給与所得者(いわゆる会社員)には給与所得控除という制度がある。
個人事業主でいう必要経費にあたるものであり、給与総額に応じて設定される。
給与総額から給与所得控除を引いた残りが給与所得となる。
なお、給与所得控除については年間でこのタイミングでのみ登場する。
源泉徴収の際には一切登場しない。
 
3.各種控除を適用する
2.の給与所得控除から各種控除を差し引いた残り(課税総所得)を算出する。
ここでは、年末調整でのみ登場する所得控除を紹介する。


次の控除は物的控除とされ、以下のものを支払った場合に適用される。
社会保険料控除
給与や賞与から差し引かれる社会保険料
無職期間があった人は国民健康保険国民年金なども該当するのを忘れないように。
・小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金など
・生命保険料控除
地震保険料控除
 
次の控除は人的控除とされ、対象となる人(本人、配偶者、親族)がいる場合に適用される。
ただし、それぞれに所得上限がある。
寡婦控除
以前の寡婦(夫)控除からひとり親控除に該当する部分が分離されたもの。
文字通り女性にしか適用されない。
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・障害者控除
・配偶者(特別)控除
配偶者がいる場合に適用。
いわゆる103万円、150万円、201万円の壁ができるのはこれが1つの要因。
・扶養控除
基礎控除
誰でも一律に適用、のはずだったが令和2年からは高所得者は適用除外になった。
所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|国税庁 (nta.go.jp)
 
ちなみに、医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税など)などはここでは出てこないので、年末調整ではなく確定申告をすることになる。
 
4.税額を算出し、税額控除の適用および復興税の加算を行う
2.の給与所得から3.の所得控除を引いた残りが課税総所得であり、これに税率をかけて所得税額を算出する。
その税額から、一定の住宅の新築、改築等に住宅ローンを利用した場合は、その残高に応じて税額控除が適用される。
3.の所得控除とは異なり、税額が直接減る。
マイホームの取得等と所得税の税額控除 (nta.go.jp)
 
最後に、算出した税額に復興特別所得税所得税額の2.1%)を加算して終了である。
この2.1%の復興税、令和19年まで続く予定である。
 

・具体例
先ほど源泉徴収の時に出てきた人の年末調整をしてみる。
ややこしくなるので時間外手当、賞与はなしの場合。
東京都で働く30歳(扶養親族なし)、ひと月の総支給30万の人の場合
毎月の控除
社会保険料 43,155
源泉徴収税額 6,750
住民税はここでは関係しないので省略
1.給与総額の集計
給与収入(総支給)300,000×12=3,600,000
2.給与所得控除、給与所得の算出
給与所得控除 3,600,000円の場合3,600,000×30%+80,000=1,160,000
給与所得 3,600,000-1,160,000=2,440,000
3.所得控除の算出
社会保険料控除 43,155×12=517,860
基礎控除 480,000
所得控除 517,860+480,000=997,860
4.税額の算出
課税総所得 2,440,000-997,860=1,442,140→1,442,000(千円未満切捨)
税額 1,442,000×5%=72,100
復興税額 72,100×2.1%=1,514.1→1,514(円未満切捨)
算出税額 72,100+1,514=73,614→73,600(百円未満切捨)
年間源泉徴収税額 6,750×12=81,000>73,600
これより、81,000-73,600=7,400円の還付となる。
還付、追加徴収は12月に支給される給与や賞与で行ってもよいし、別途でもよい。

 

 

とまあ、このような流れを経て年末調整は行われる。

職員が少ない会社では未だに手計算で年末調整を行なっているところもあるが、大体は給与ソフトに入力すれば自動でやってくれる。

それゆえ、この計算を意識することは少ない。

普段の給料の税金について、どのように決まっているのか知っておくのも悪くないだろうか

年末調整と続・ひとり親控除について

以前のひとり親控除の投稿と重複する内容がありますが悪しからず。

 

 

今日の事務所での年末調整についての勉強会。

 

議題は主な改正点についてだが、主に内容が変わったひとり親控除・(新)寡婦控除について。


議論が盛り上がったのは次の点。
・要件の1つに「事実上婚姻関係と同様の事情(いわゆる事実婚、内縁)にあると認められる一定の人がいない」とあるがどうやって確認するのか


いろいろ話が出た挙句、結局聞き取りしかないのではないだろうか、という結論に。

提出してもらった書類のみを見て判断するのが本来だろうが、書類だけで分からない状況が多々あり結局本人から直接聞き取ることになる。
だとしたら何のための書類なのか。
いや、書類を提出した段階でそこに書いてあることで判断しろということだろう。

 

とはいえ、お客様の職員で給料に関する所得税について知っている人はどれくらいいるのだろうか。

そういう私も前職ではあまりよく分からないまま年末調整の書類を事務に提出していたが、詳しく知ることになったのは現職に就いてからである。

なお、お客様の職員の年末調整の書類を見ていて多いのは、「所得と収入が使い分けられていない」である。

 


ここでもう1つ頭に浮かんだこと。

頭に浮かんだことなので、誰にも話していないし結論は出ていないが。


事実婚」というからには男女の組であるはずだ。
これが事実婚と同様の事情であっても、同性の相手と子だとどうなるのだろうか?

ひとり親控除が適用されるのだろうか?

具体的には、女性Aが何らかの方法で子どもXを生み、女性Bと同一生計の場合である。

子どもXの年齢次第で扶養控除の対象にはなるだろうが、ひとり親控除になるのだろうか。

 

もちろん現行の日本の法では同性婚は認められていないが、そういう人も少なからずいるだろう。

今のところお客様のところでは、このような解釈が複雑になりそうな場合は聞かないが、今後増えてこないとも限らない。

だれか詳しい人教えてください。

 

 

最近ブログの方向性が税法なのか民法なのか分からなくなってきたが、思いついたことを書いていくだけである。

相続税と配偶者の話

生きてる以上、必ず死はつきまとう。

税法を考えると、死とともに考えるのは相続税である。

この相続税というもの、配偶者という存在がかなり大事である。

 

それらをいくつか述べていくことにしよう。

当然のことながら、配偶者というのは役所に婚姻届を提出したものを指し、事実婚等は含まれないことに注意すべし。

 

 

①常に法定相続人になる

 

亡くなった人(被相続人)の配偶者は必ず法定相続人になる。

残された親族によって、法定相続分は以下のようになる。

1.配偶者1/2、子1/2

2.配偶者2/3、両親1/3

3.配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

被相続人との関係性がそのまま割合に現れている。

 

※なお、配偶者以外は人数で均等分配となる。

子が3人いれば、子は1人あたり1/2×1/3=1/6である。

 

 

②配偶者の税額軽減

 

①では法定相続分について述べたが、相続税法定相続分を相続したとして、各自の税金を計算する。

この時、実際にいくら相続したかはまた別の話である。

 

ただし、配偶者に関しては、法定相続分以下、または1億6,000万円分の相続に関しては相続税はかからないことになっている。

仮に親族が誰もおらず法定相続人が配偶者だけの場合、財産の価値に関わらず相続税はかからないことになる。

※ただし、この配偶者の税額軽減を適用するためには相続税の申告が必要である。

 

長年連れ添った相手の財産を引き継ぐ、ということからある程度の優遇?があるようである。

 

 

贈与税配偶者控除

②と同様のものは贈与税にもある。

ちなみに贈与税法というものは存在せず、贈与税相続税法の一分野に存在する。

死亡時に相続、生存時点で贈与という捉え方でおおよそ間違いではないだろう。

 

贈与税配偶者控除は以下のような要件を全て満たした場合に適用される。

(1)贈与の年において婚姻期間20年以上の配偶者からの贈与

(2)居住用不動産、または居住用不動産取得のための金銭の贈与

(3)翌年3/15までに居住を始め、それ以降引き続き居住予定あり

控除額は以下のうち少ない方である。

(1)2,000万円

(2)居住用不動産+居住用不動産の取得に充てられた金銭

なお、これは1人の配偶者につき1回だけ使うことができる。

 

財産形成には配偶者の協力が必要である、ということであろうか。

 

 

④配偶者居住権・配偶者短期居住権(この項だけ長め)
 
相続があった際、住宅も相続財産になる。

そのため、相続財産の構成によっては住宅を売却しその現金を分割する場合がある。

そうなると、被相続人と一緒に住んでいた配偶者が住まいに困るという事態も出てくる。

特に、高齢になってからの相続では次の住居を見つけるというのも大変である。

 

このような背景もあってか、配偶者には被相続人の住宅に住み続けられる権利というものが認められている。

 

以前から「配偶者短期居住権」というものはあり、こちらは相続開始時(だいたいは被相続人がなくなったとき)から6か月は被相続人と一緒に住んできた住宅に住めるというものである。

遺産分割が成立するまでは一時的に住むことができる、という考え方でよい。

 

 

この配偶者短期居住権に加え、2020年4月に新たに設定されたものが「配偶者居住権」である。

配偶者短期居住権と同様、被相続人と一緒に住んできた住宅に住み続けられる権利であるが、その期間は10年や20年といった有期でもよいし、終身でもよい。

 

住宅についての権利を居住権と所有権に分け、そのうちの居住権を相続できる、と考えてよいだろう。

当然、所有権は別の相続人に相続させることができるし、それぞれに一定の基準で定められた価値が設定される。

 

両方とも「配偶者(短期)居住権」というだけあって、配偶者以外の親族には設定できないし、譲渡もできない。

 

 

これらのように、相続の際には配偶者に認められる権利が幅広い。

これは1つには、婚姻関係での財産形成には配偶者の支えが欠かせないという考え方であろう。

 

今の世の中ではその形も変わってきており、婚姻関係という形を取らないことも多い(いわゆる内縁、事実婚など)。

それ以外にも多様な間柄があり、どのような間柄が良いかは千差万別。

しかし、税法に関しては婚姻関係が一番強い、というかそれ以外が弱い。

法的に間柄を証明できないから仕方ないが。

かんぽ生命と持続化給付金の話

 

まずはこのニュースをご覧いただきたい。
 
 
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e565eac24115dc50fe3931111efd3cdbde9d6c4
 
 
 
簡単に言うと見出しの通り、
 
日本郵便の社員が保険業務に関して持続化給付金を申請した
 
・職員に対して不正受給ではという疑いが内外からある
 
・申請した社員について日本郵便は申請取り下げを促している
 
という内容である。
 
なお、別記事では受給済みの社員に対し、給付金の返還も促しているようだ。
 
 
 
 
 
さて、この件について考えなければならないことは以下の通りである。
 
(事実確認)
 
・持続化給付金とは
 
・保険外交員の収入について
 
(考察)
 
新型コロナウイルスの影響の有無
 
日本郵政が社員の申請に口出しできるのか?
 
当該記事のコメントにも説明している人がいるが、改めて整理してみよう。
 
 
 
 
 
 
 
(事実確認)
 
・持続化給付金とは
 
まず、持続化給付金とは何か、申請用のHPを見ていただこう。
 
 
 
https://www.jizokuka-kyufu.jp/subject/
 
 
 
○要件
 
・2019年以前から事業を継続し、今後も継続する意思がある
 
新型コロナウイルス等の影響により、2020年1月以降で月間の売上が前年同月の半分以下になった月がある(青色申告の場合)
 
○支給額
 
法人200万円、個人100万円
 
上記は最高額だが、よほど細々とした事業でない限りはこの金額になる。
 
 
 
新型コロナウイルス等の影響で売上が減少した事業者に対し、売上の補填に限らず幅広い用途で使うことができる、という名目の給付金である。
 
個人の場合は事業所得を得て確定申告を行っていることが大前提である。
 
 
 
しかし、一般的に企業に雇用されている場合の収入は給与所得である。
 
日本郵政の職員も雇用されていると考えると、持続化給付金を申請できるのはどういうことだろうか。
 
 
 
 
 
・保険外交員の収入について
 
職員は郵便の仕事もするが、保険商品を販売する保険外交員としての仕事もしていると考えられる。
 
この保険外交員という仕事、他の保険会社も同様だが収入が会社員としてはやや特殊である。
 
 
 
保険外交員というのは保険会社の従業員・職員であることが多い。
 
つまり、雇用関係にあるということになり、ほぼ定額の給料が支給される。
 
それとは別に、契約高に応じて営業手当(歩合給)が支給される。
 
 
 
所得税法上では、定額給料部分は給与所得となり、他の会社員同様に年末調整の範囲である。
 
しかし、歩合給部分は事業所得となり経費(お客様への粗品等)を含めて確定申告が必要である。
 
今回の郵便局員の件についても同様で、次の収入があったものと思われる。
 
○給与所得
 
・郵便業務の給料
 
保険業務の基本給
 
○事業所得
 
保険業務の営業手当
 
この営業手当が減少したことをもって持続化給付金を申請するに至ったわけである。
 
 
 
 
 
(考察)
 
新型コロナウイルスの影響の有無
 
では、なぜ郵便局員が持続化給付金を申請するほど収入が減ったのであろうか。
 
記事を読んだ人にはお分かりであろうが、以前にかんぽ生命の不正販売があったことはご存じであろう。
 
その不祥事における営業自粛で、当然のことながら新規契約は減少している。
 
 
 
そう考えると、新型コロナウイルス等の影響はないように思えてくる。
 
 
 
しかし、今回の申請では新型コロナウイルス等の影響を立証することは求められていない。
 
行政機関から感染拡大防止のために営業自粛要請を受けた、という場合はともかく、それ以外で立証できるケースはほとんどないだろう。
 
そもそもこの時期に申請を考える以上、直接、間接を問わずかなりの事業が少なからず影響を受けているはずだ。
 
そうなると収入に関する要件は事実上「前年同月比で売上半減以下」のみになる。
 
 
 
実際問題として、郵便局の窓口で他の保険(損保含む)は変わらずに販売されているが、対面の機会が減ったことによりそれらの新規契約が減ったことは容易に想像できる。
 
 
 
これらを考慮するに、今回の日本郵政の職員が持続化給付金を申請したことについて、不正受給に当たると断言はできなくなってくる。
 
 
 
 
 
日本郵政が社員の申請に口出しできるのか?
 
今回の給付金は法人および個人事業主向けである。
 
日本郵政の社員が事業について申請を行った以上、この問題は日本郵政の社員と申請先の機関の間の問題であり、そこに日本郵政は関係しないと考えられる。
 
日本郵政は営業手当に関しては報酬の支払い側でしかない。
 
 
 
何か申請に問題があるのであれば、申請先の機関が却下するなり、支給済みの給付金の返還を要請するなりすればよいのである。
 
少なくとも制度上は(用意した書類に不備がなければ)申請できる。
 
制度上申請に問題がなければ、問題があるのは制度そのものである。
 
しかし、迅速な給付が最優先になる以上は、申請しやすくするほかないのであろう。
 
 
 
 
 
まとめ
 
(事実確認)
 
・持続化給付金は、法人および事業所得を確定申告している個人事業主が申請することができる
 
・保険を扱う日本郵政の職員は、給与所得以外に事業所得がある
 
(考察)
 
・事業所得部分(営業手当)が減ったのはおおよそかんぽ生命の営業自粛の影響だが、新型コロナウイルス等の影響が全くないとは言い切れない
 
・職員個人に確定申告させている以上、日本郵政が口出しできることではない
 
・一応の要件は満たしている以上、不正受給に該当するなら申請先が却下するなり返還を求めるなりすればよい
 
 
 
 
 
今のところ、すでに申請を取り下げる、または返還に応じている社員が存在するようだ。
 
今後どういう動きになるのかはわからないが、日本郵政と社員と申請先の三者の解釈の相違が埋まるのはまだかかりそうだ。
 
もっとも、申請先の意見は出てきた覚えがないが……。

寡婦(夫)控除とひとり親控除の話

所得税にはいくつか所得控除があるが、その中の1つに寡婦控除というものがある。

 

日本の税法上おそらく唯一、納税者本人の性別が関係する制度である。
 
文字通り対象は女性だが、似たようなもので男性を対象とする寡夫控除なるものもあり、よく寡婦(夫)控除とまとめられる。
 
 
 
 
 
2019年度時点で、この制度は次のようなものである。
 
なお、死別には生死不明も含む。
 
寡婦控除
 
○要件 以下のどちらか
 
1.夫と死別または離婚し再婚していない人で、扶養親族または生計を一にする子がある
 
2.夫と死別し再婚していない人で、合計所得が500万以下
 
○控除金額
 
・所得から27万円控除
 
 
 
寡婦控除のうち、特別の寡婦に該当する場合
 
○要件
 
・夫と死別または離婚し再婚していない人で、生計を一にする子があり、合計所得が500万以下
 
○控除金額
 
・所得から35万円控除
 
 
 
寡夫控除
 
○要件
 
・妻と死別または離婚し再婚していない人で、生計を一にする子があり、合計所得が500万以下
 
○控除金額
 
・所得から27万円控除
 
 
 
 
 
もともとこの寡婦控除の創設は1951年と大戦後すぐであり、夫が戦死した母子家庭を支援するものだったという一説がある。
 
その後、死別だけでなく一般的な離婚にも適用され、男性にも適用されるようになった、という話もある。
 
 
 
しかし、この寡婦(夫)控除、適用要件を見てもらえればわかる通り、問題点が2点ある。
 
1つは、本人の婚姻歴によって控除の有無が変わる点である。
 
基本的には死別または離婚したひとり親が対象であり、未婚のひとり親には適用されない。
 
はたから見たら似たような家族でも控除の有無が異なるのである。
 
 
 
極端な話、「子どもができた」「婚姻届けを出す」「夫死亡」の順番が違うだけで大違いである。
 
子どもができ、婚姻届けを出した後に夫が死亡した場合は控除が適用になる。
 
しかし、子どもができ、婚姻届けを出す前に夫(となるべき人)死亡した場合には控除は適用されない。
 
その後ひとり親になるのは変わらないのに、どうして控除の有無が異なるのか理解に苦しむ。
 
 
 
 
 
もう1つは、本人の性別によって控除の要件や金額が変わる点である。
 
特別の寡婦寡夫控除を比べてもらえればわかるが、同じ要件でも男女で控除額が異なる。
 
もともとは女性の所得が比較的少なかったからわかるような気もするが、現代では完全ではないにせよ収入の男女差は改善しつつある。
 
そのため、制度の男女差が不合理な気も多少はある。
 
 
 
 
 
というのが以前までの制度である。
 
 
 
 
 
2020年度からは、上記の問題点をある程度解消した「ひとり親控除」なるものが従来の寡婦(夫)控除に代わって適用になる。
 
 
 
○要件
 
・現在婚姻をしていない人(配偶者の生死不明含む)で、生計を一にする子があり、合計所得が500万以下
 
ただし、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある(いわゆる事実婚)場合は除く
 
○控除金額
 
・所得から35万円控除
 
 
 
このひとり親控除には、婚姻歴の有無および男女差はなく適用になる。
 
従来の特別の寡婦および寡夫控除の要件に未婚が追加され、控除額が35万円にそろえられた。
 
 
 
ただし、改正後も寡婦控除がなくなるわけではなく、要件を変えて残る。
 
○要件
 
・ひとり親に該当しない女性のうち、合計所得が500万以下であり、以下のどちらかを満たす
 
1.夫と死別
 
2.夫と離婚して子以外の扶養親族がいる
 
ただし、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある(いわゆる事実婚)場合は除く
 
○控除金額
 
・所得から27万円控除
 
 
 
この新しい寡婦控除は文字通り女性のみが対象になるため、寡夫控除なる名称が廃止になることも補足しておきたい。
 
 
 
 
 
というか、いつも思うがこれを毎年経理担当者は年末調整の際に確認するのだろうか。
 
あくまでも扶養控除等(異動)申告書での自己申告であるが、1年もたったら独り身になった理由なんて本人以外忘れていそうである。
 
事実婚かどうかも現状では住民票に記載されているかどうかでしか判定できないようなので、それ以上は経理担当者が突っ込めないと思われる。
 
 
 
 
 
 
 
もともとの寡婦(夫)控除は、伝統的な家族観に基づいて残っていたという声もある。
 
男女が(民法上)結婚して子供を育てていく、というのはその中の1つであり核となる部分であろう。
 
しかし、現代ではそのような観念も足枷となる場面も多い。
 
 
 
民法上の婚姻による税法の適用の違いについては、所得税相続税にまだ数多く残っている。
 
婚姻なる制度も民法上のものでしかないのだが、その制約や特典もまだまだ多い。
 
しかし、それらが時代にそぐわなくなるのも時間の問題なのかもしれない。

この時期にまったく関係ない「牛・フリー」の話

畜産農家(牛)についての仕事をしていた話。

畜産農家が利益を正しく出すには、家畜の原価が必要である。
いろいろやり方はあると思うが、私たちがよく使うのは農家での育成開始日~出荷日の記録。
当然牛1頭ずつ違うので、1頭ずつ情報が入っている。
管理番号や仕入先、出生日や牛の種類。
その中に性別もある。当然、乳牛はメスである。


その性別欄にオス・メスではなくフリーと書かれた牛が何頭かいる。
牛にはオス・メスではない性別の分類があるのだろうかと思い、ちょっと調べてみた。


結論から言うと、このフリーはちょっと変わったメスである。
正式名称をフリーマーチンというが、どうやって生まれるかというと、牛の双子が産まれるときである。
オス2頭、メス2頭、オス・メス1頭ずつの3パターンが考えられるが、フリーマーチンが産まれるのはオス・メス1頭ずつの場合だ。
しかしこのフリーマーチン、農家にとってはちょっと困った存在である。


メス牛なら基本的に乳牛となる場合も多いが、フリーマーチンは乳牛にはなれない。
というのもこのフリーマーチン、オス・メス両方の生殖器がそれぞれ不完全な発達状態で存在するためである。
妊娠に至らないので、当然乳も出ない。
しかも、親牛がオス・メスの双子を妊娠した場合フリーマーチンは9割以上の割合で起こるから、なおさら農家にとっては困った話である。


では肉牛としてはどうか。
フリーマーチンと同時に産まれたオス牛は肉牛として育てられるか、肉牛を育てる農家に引き取られる。
このフリーマーチンも肉牛として引き取られることになるが、同時に産まれたオス牛よりもかなりの低価格になる模様である。
メスだが乳牛になれないというだけでかなり価値が下がるようだ。

この現象、牛に限らず他の生物でも起こるようだが、牛はオスとメスとで家畜としての価値や育て方が変わるので特に問題になりがちである。



人間でも少し異なるが両方の生殖器がある子が生まれてくることもあるようだ。
半陰陽インターセクシャルなどというようだが、この場合は双子でなくても起こる。
この場合、出生届はどうなるかというと、「性別留保」なる手続きをとることにより、性別を記載しないことが可能である(いつかは性別選択は必要になるようだが)。

しかし、生殖能力を確保するために生後すぐに手術をする例もあるようだが、成長後に本人の性自認が異なる場合もあるなど慎重な判断が必要になるようだ。


人間の場合は本人の意思と言うのもあって個人的、社会的にも複雑な問題になるが、何より大事なのは本人の意思であろう。
もちろん、周囲とうまくやっていくことが前提であるが、その上でなら多様性の1つとして認められるべきであろう。



あれ、牛の話をしていたはずなのだが……?

職場(建物とか)。

先日、現職場の労務管理の日記を書いたが、労働環境という意味では物的要素も辛いところがある。

 

それが一番現れているのが、何を隠そう事務所の建物。

前所長から引き継いだものらしいので30年以上たっており、そのせいか要所要所にガタが来ている。

 

最近の一番の問題はトイレである。

つい最近までは私たちの作業場には男性しかいなかったため、トイレが和式で古くても多少我慢していた。

ただ、最近になって足が悪い女性が入ってくることになったので、急遽新しい洋式トイレを導入。

 

しかし、トイレの問題はそれで解決したわけではない。

現職場のトイレは、大小便器の個室こそドアは閉まるものの、使用中でなければ作業場から見て常に開けっぱなしである。

普通の家や飲食店なら、トイレが開けっぱなしなのは印象が悪いだろう。

 

なぜかというと、トイレには暖房が入っておらず、建物も古いため水道が凍結しかねないからである。

今日も午前中、先日導入した洋式トイレのウォシュレットが凍結していたそうな。

急遽小さいハロゲンヒーターをトイレに置いて、微力ながら暖房中である。

 

労務管理もそうだが、物的な労働環境も勤労意欲には大事である。