税理士・社会保険労務士をめざすうさみみミカエル227

個人税理士事務所で働きつつ資格取得のために勉強、仕事や勉強、その他何かあったことを固くならないように紹介していくブログ。

相続税と配偶者の話

生きてる以上、必ず死はつきまとう。

税法を考えると、死とともに考えるのは相続税である。

この相続税というもの、配偶者という存在がかなり大事である。

 

それらをいくつか述べていくことにしよう。

当然のことながら、配偶者というのは役所に婚姻届を提出したものを指し、事実婚等は含まれないことに注意すべし。

 

 

①常に法定相続人になる

 

亡くなった人(被相続人)の配偶者は必ず法定相続人になる。

残された親族によって、法定相続分は以下のようになる。

1.配偶者1/2、子1/2

2.配偶者2/3、両親1/3

3.配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

被相続人との関係性がそのまま割合に現れている。

 

※なお、配偶者以外は人数で均等分配となる。

子が3人いれば、子は1人あたり1/2×1/3=1/6である。

 

 

②配偶者の税額軽減

 

①では法定相続分について述べたが、相続税法定相続分を相続したとして、各自の税金を計算する。

この時、実際にいくら相続したかはまた別の話である。

 

ただし、配偶者に関しては、法定相続分以下、または1億6,000万円分の相続に関しては相続税はかからないことになっている。

仮に親族が誰もおらず法定相続人が配偶者だけの場合、財産の価値に関わらず相続税はかからないことになる。

※ただし、この配偶者の税額軽減を適用するためには相続税の申告が必要である。

 

長年連れ添った相手の財産を引き継ぐ、ということからある程度の優遇?があるようである。

 

 

贈与税配偶者控除

②と同様のものは贈与税にもある。

ちなみに贈与税法というものは存在せず、贈与税相続税法の一分野に存在する。

死亡時に相続、生存時点で贈与という捉え方でおおよそ間違いではないだろう。

 

贈与税配偶者控除は以下のような要件を全て満たした場合に適用される。

(1)贈与の年において婚姻期間20年以上の配偶者からの贈与

(2)居住用不動産、または居住用不動産取得のための金銭の贈与

(3)翌年3/15までに居住を始め、それ以降引き続き居住予定あり

控除額は以下のうち少ない方である。

(1)2,000万円

(2)居住用不動産+居住用不動産の取得に充てられた金銭

なお、これは1人の配偶者につき1回だけ使うことができる。

 

財産形成には配偶者の協力が必要である、ということであろうか。

 

 

④配偶者居住権・配偶者短期居住権(この項だけ長め)
 
相続があった際、住宅も相続財産になる。

そのため、相続財産の構成によっては住宅を売却しその現金を分割する場合がある。

そうなると、被相続人と一緒に住んでいた配偶者が住まいに困るという事態も出てくる。

特に、高齢になってからの相続では次の住居を見つけるというのも大変である。

 

このような背景もあってか、配偶者には被相続人の住宅に住み続けられる権利というものが認められている。

 

以前から「配偶者短期居住権」というものはあり、こちらは相続開始時(だいたいは被相続人がなくなったとき)から6か月は被相続人と一緒に住んできた住宅に住めるというものである。

遺産分割が成立するまでは一時的に住むことができる、という考え方でよい。

 

 

この配偶者短期居住権に加え、2020年4月に新たに設定されたものが「配偶者居住権」である。

配偶者短期居住権と同様、被相続人と一緒に住んできた住宅に住み続けられる権利であるが、その期間は10年や20年といった有期でもよいし、終身でもよい。

 

住宅についての権利を居住権と所有権に分け、そのうちの居住権を相続できる、と考えてよいだろう。

当然、所有権は別の相続人に相続させることができるし、それぞれに一定の基準で定められた価値が設定される。

 

両方とも「配偶者(短期)居住権」というだけあって、配偶者以外の親族には設定できないし、譲渡もできない。

 

 

これらのように、相続の際には配偶者に認められる権利が幅広い。

これは1つには、婚姻関係での財産形成には配偶者の支えが欠かせないという考え方であろう。

 

今の世の中ではその形も変わってきており、婚姻関係という形を取らないことも多い(いわゆる内縁、事実婚など)。

それ以外にも多様な間柄があり、どのような間柄が良いかは千差万別。

しかし、税法に関しては婚姻関係が一番強い、というかそれ以外が弱い。

法的に間柄を証明できないから仕方ないが。